ゲノム編集技術を用いて作成した生物の取り扱いに関する声明・見解・方針

声明

平成26年5月20日

ゲノム編集技術を用いて作成した生物の取り扱いに関する声明

全国大学等遺伝子研究支援施設連絡協議会
(大学遺伝子協)
代表幹事 難波 栄二

人工ヌクレアーゼのZFNsやTALENs、RNA誘導型ヌクレアーゼのCRISPR/Casなどを用いた新しい遺伝子改変技術は「ゲノム編集」と呼ばれており、「NBT(New Breeding Techniques)」と呼ばれる技術の中の主要なものです。これらの技術を用いることにより、従来は遺伝子改変が困難であった生物種でも遺伝子改変が可能になり、今後急速に多くの研究者が利用することが予想されます。

一方、ゲノム編集技術によって作成された生物(ゲノム編集生物)には、カルタヘナ法で規制される遺伝子組換え生物の範疇から外れる可能性があるもの(具体的には外来遺伝子を保有しない生物)が存在し、これらの取り扱いに関しては、昨年の遺伝子組換え実験安全研修会(大学遺伝子協主催)でも大きな議論になりました。

大学遺伝子協では、これらの技術を適正に取り扱い、研究の推進を図る方法を早急に検討することが必要と考え、会員の機関等へアンケートを実施し、その内容を踏まえ検討を行ってきました。

アンケート結果の詳細は公表に至っていませんが、遺伝子組換え生物とは異なり自由に扱いたいというものから、遺伝子組換え生物と同様に慎重に扱うべきであるとするものまで、幅広いご意見をいただきました。この中では、慎重な取り扱いが望ましいとのご意見が比較的多かったのですが、具体的な取り扱い方法に関しては各機関でまちまちであり、それゆえ文部科学省などからの統一した見解や基準を求めるご意見もありました。そこで、大学遺伝子協では下記の見解と方針を示すとともに、今後もさらに検討を進めてまいります。

大学遺伝子協ではこれらの見解と方針を参考にして頂き、各機関で自主的に対応を検討し、適切な取り扱い方法を示していくことが望ましいと考えております。

見解

1. ゲノム編集生物の中には、カルタヘナ法の規制に該当するもの(具体的には外来遺伝子を保有するもの)が存在し、これに対しては従来どおり遺伝子組換え生物等として拡散防止措置を執ることが必要です。

2. ゲノム編集生物の歴史は浅く、カルタヘナ法の規制に該当しないと考えられる場合でも、環境に与える影響を正確に評価するためには多くの知見の積み重ねが必 要です。そのために、各研究機関等において、すべてのゲノム編集生物の情報を収集するために申請または届出といった制度を整えることが望ましいと考えます。

3. 多様なゲノム編集生物を一律に取り扱うことは難しいため、具体的な情報収集と取り扱いは、遺伝子組換え実験安全委員会などが各機関の状況に応じて行うことが必要と考えます。

4. すでにゲノム編集生物の機関間での授受が行われており、今後はさらに活発になると考えられます。 機関間での授受では、相手方にゲノム編集生物であることが正しく伝わるような情報の提供が必要です。

方針

1. 各機関の協力を得て、国内におけるゲノム編集生物に関する情報収集を進めます。

2. 世界的な動向や情報をできる限り収集し、提供していきます。

3. 各機関への支援を行うために、書式例(届出等)の提供などを行います。また専門家の協力を得て個別の相談窓口を開設します。

4. 大学遺伝子協が開催する遺伝子組換え実験安全研修会や総会などで情報の提供や議論を行い、できるだけ具体的な見解や方針を示していく予定です。

ゲノム編集に関するお問い合わせは事務局までお願いします。

Email: aapgs あっと knd.biglobe.ne.jp
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