作物は順調に根付いています

農業計画担当 橋本康範
ペシャワール会報75号より
(2003年04月16日)
高橋修氏(農業指導員)へ宛てた手紙です。
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2002年09月
パイロットファームにて
橋本ワーカ、高橋さん、パイロットファームの担当農家
前略 

高橋さん、すっかり春めいた日本でいかがお過ごしでしょうか。ここダラエヌールもさらに暖かさを増し、もう暑いくらいで日本の初夏の陽気です。高橋さんが来られたときに播いたとうもろこし、ソルゴーからも芽が出始め、挿し木したブドウ、移植した百本のお茶からも新芽が顔を出し順調に根付いています。今回の高橋さんの訪問で私は高橋さんと3度現地で一緒に活動したことになりました。

初めて高橋さんとお会いし、活動したのは去年の7月でした。あの時はアフガニスタンでも一番暑い時期で、日本では到底体験できない恐ろしくイタイ日差しと熱風が襲う中の活動となりました。そんな中、一日中畑での仕事は並大抵の体力がないと堪えられません。それでも高橋さんは跳ぶように畑を駆け回り、土の様子や潅水について、大豆やとうもろこし、お茶の栽培について、何も知らない私に一つ一つ丁寧に、時には実践して教えてくださいました。また、パイロットファームの農家と仕事をするのが初めてだった私を気遣い、私のペースに合わせて活動してくださいました。そして、一切の疲れも見せず責任感強く一つ一つの活動を消化していく高橋さんの姿に強く胸を打たれました。

それからもう私は高橋さんのとりこになりました。2度目は昨年の9月末でした。このとき高橋さんは72歳の誕生日をダラエヌールで迎えられました。パイロットファームの農家から手作りの花の首飾りを贈ってもらったり、農業計画、水源確保のエンジニア、クリニックのスタッフみんなダラエヌールのクリニックに集まり、高橋さんの誕生日を祝ってくれたりしました。そしてそのお返しに高橋さんは日本の民謡を力いっぱい歌いました。

2002年9月
パイロットファーム担当農家が開いてくれた
歓迎パーティー
時計の長針12の位置が高橋さん、
反時計回りに2人目が川口ワーカ
今回3月の訪問では、ぶどうの苗を予想以上にパキスタンの農業研究所から譲り受けたとき、高橋さんは担当の方に抱き付いて喜んでいました。また私自身今回は、高橋さんと一緒にサテライトファーマーの面接をしたり、今後奨励していく技術・作物・品種について絞り込んだりと、そんな活動の中でほんの少し高橋さんの考えに近づいて互いに話をすることが出来たのでは、と一人うれしく思っていました。

いつも私は高橋さんがアフガニスタンに来るのを心待ちにしています。高橋さんと一緒に活動していると楽しくて仕方がないのです。そしてなぜかほっとします。たった一度の人生、それをどう生きるべきか自分はいつも答えを求め、しかし、一生かけても答えが出ないような気がしています。しかし、高橋さんと一緒にいるとなんだかその答えをそっと、しかし身体を張って教えてくれているような気がしてなりません。だからほっとするのかもしれません。

次回お会いできるのは7月頃でしょうか。またあの恐ろしい暑さの中での再会となりますね。それでもやはり高橋さんはあの暑さをものともせず、また畑を跳ぶように駆け回りながら活動なさることと思います。風がどうっと吹いたブディアライの谷で、大きなソルゴーに囲まれて涙を流していた高橋さんの姿が私にとてつもない力を与えてくれています。今後もしっかり高橋さんに付いて行けるよう、そしてなお一層高橋さんと深い話が出来るよう日々努力していこうと思います。では互いにくれぐれも健康には気をつけ、また笑って再会しましょう。

ダラエヌールの試験農場にて
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(追伸) 
高橋さんはよく冗談を交えながら奥さんの話をしてくれます。アフガニスタンではいつも遠く離れた、とても安全とはいえない土地に来ての活動によって奥さんに心配をかけていることを気にかけていらっしゃいます。そして、日本に残してきた奥さんのことをとても心配なさっています。どうか奥さんにもよろしくお伝えください。そしていつもアフガニスタンへ呼び出してしまってすみませんと、この場を借りてお詫び申し上げます。


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