受信日:2010年01月30日



事務局のみなさん、

 完工式にまで、とても間に合いませんが、見せても恥ずかしくないものになったようです。
だんだん分かってきましたが、カブールとジャララバードとの間は、連絡が非常に悪く、とくに一般農民の実情は、伝わらないことが多いようです。
貧困層の間ではPMSの存在感は絶大でも、行政側の間では、地方灌漑局を除けば、ほぼ関心がないように思えます。この大干ばつに対する危機感のなさが、やがて大きな動きに反映されるのは確実だと思います。特に今年の少雨、積雪量の減少は、私たちが観察を始めた2000年以来、最悪の状態となっています。

 毎日620名が働く現場は、職を求めて東部アフガン中から人が集まり、それでもカードがもらえる数が限られていて、二千数百名が交替で日当を得ています。ガンベリ沙漠の彼方のラグマン州からは約200名が、わずか200アフガニを求め、毎朝2時に起き、3~4時間かけて歩いて現場につくそうです。ラグマン州もひどい旱魃で、食べるものがなく、町に日当を求めて出ていっても仕事がありません。
遊牧民の群もそうで、草地がなくなり、マルワリード用水路に続々と集まっています。完工式はめでたいことですが、全体の事を思うと、うす寒いものがあります。飢えた人々の群が、やがて回答を出すでしょう。
 それでも、ここだけは守りたいと思います。


用水路の概要の更新版を送ります。これが最新のものです。
全長はT区が加わり、25.5㎞とします。これは初め灌漑分水路として6カ月がかりでできた1,250mですが、主水路と呼ぶべきで、訂正して報告します。


 1週間があっという間に過ぎてしまいます。今週は大きな出来事は、カマ第二取水堰の仮工事が終わり、無事に堰が対岸の蛇篭に到着、70cm以上の水が、全カマ郡(7,000ヘクタール)を潤しました。少雨に不安を抱いていた住民は胸をなでおろしました。


スライド式水門を取り外し、堰板方式に変え、堰上がった水が流れ込む。堰は殆んど完成に近いが、数年間、観察と小さな改修が要る。PMSの取水技術は、
7年を経て完成度が高くなってきた。(1月28日)



巨石捨石工による堰の幅は約15m、長さ70mで対岸の蛇篭根固めの河原につく。しかし、堰はひと夏を経なければ分からない。普通は30m以上の幅をとり、余水吐きを作るが、石材輸送はダンプカーにして1,000台分以上の巨石が要る。でも、
今年の小麦の収穫は全域で保障された。一応仮工事の完了とする。(1月28日)



マドラサ運動場の整地、あと数日で終わる。子供たちは、
既にクリケットなどをして遊んでいる。(1月28日)



こちらモスクも最終段階。何だか昔からあったような―――。
参道両側は芝生が敷かれる。(1月28日)



モスクのアザーン用のスピーカーは太陽光発電を利用する。曇り日で試したが、
ほぼ問題がなく、シェイワ郡全体に声が届く。モスク内の灯りも、十分だ。(1月28日)


★Dr.T.Nakamura★
中村 哲


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