“魔法の箱”について


 鳩レースによって、鳩体には、飛翔するためのエネルギーを消費し、筋肉の長時間にわたる収縮によって筋肉に乳酸が蓄積されます。
 いわゆる筋肉疲労と、飛翔するスピードによって発生する風圧によって、鳩体の骨格そのものに,受ける力による疲労とが惹起されます。

 筋肉疲労は舎外運動によって、平素から鍛錬された鳩に軽く、舎外運動の不足な鳩に重いというのは明らかです。
 また、体重の軽い鳩に軽微で、重い鳩に重度でもあります。
 
 筋肉の疲労状態を識別するには、キール(竜骨)のところの羽毛をはだけて、大胸筋を見ると判ります。
 大胸筋の色がピンクのものを良しとし、暗赤色のものは疲労の程度が高い鳩と言えます。
 これらは、筋肉が燃焼を続けた結果発生した乳酸の蓄積が主となり、更に外圧(風圧)を長時間受ける為に起こる内出血(毛細管)が副となっています。

 もう一つの判断は皮膚の疲労の判断です。
 これは
『疲れ』という漢字を分析すると『ヤマイダレ』『皮』と書きます。
 従って疲労が一番最初に表われるのが皮膚である事を言っています。

 餌をついばむところを観察すると背中の羽毛はピッシと密着せずに、逆立てているようなものは、
 ほとんど『疲れ』の状態にあると断言できます。人間の場合、疲れてくると肌が荒れてくるというやつですね(^_-)-☆

 この二通りの疲労判断から、疲労という結論が出たら、これを除去しなければなりません。
 この除去する事、即ち疲労がない状態にもっていってレース参加することが、必勝法の最もたるものです。

 『鳩レースは疲労抜きゲーム』といわれる所似です。

 しからば、どのような手段を用いて疲労を抜くかという問題になりますが、これも全鳩を同一に論じる事は全く不可能なことです。
 なぜならば、疲労が発生したレースがイージーだったのか、ハードだったのかの判断が必要だろうし、鳩固体の本来の頑健さにもよります。
 そこで、鳩の疲労の状態の識別は皆さんに委ねて、もっとも簡便は
『疲労抜き』の方法を、お教えいたします。

 鳩が上空を飛翔し帰還すると、まず、エネルギーの消費のために、体温が低下します。
 したがって帰還したばかりの鳩に冷水を飲ませるのは駄目!!です。

 次に餌を与えるわけであるが、この餌は高蛋白、高脂肪のものを与える必要は全くありません。
 その理由は、疲労して消化・吸収力が著しく低下した鳩に、
 消化吸収のメカニズムが複雑なそれらの飼料を与えると、疲労がさらに増すからです。

 マイロ、大麦、ヒエなどの炭水化物主体のエサを少量与え、空腹感だけを癒してやれば良いでしょう。
 そして鳩舎の自分のポジションで夕刻まで過ごさせ、夕刻になったら、
“魔法の箱”に移し、家の中のあたたかい部屋で静かに一夜を過ごさせるのです。

 魔法の箱などと子供だましみたいな・・・・・・といぶかる人もあるでしょうが、この箱は効果絶大なものがあるから不思議です。

 この魔法の箱は、ミカンの空き箱のただのダンボール箱です。このダンボールの箱の底に、切った新聞紙の細切りを厚めに敷きます。
 その中に鳩を入れて暖かな部屋で一晩おくと、翌日にはびっくりするほど疲労が回復するものです。

 帰還した鳩を直ぐに温浴させるレースマンもいますが、温浴は乾燥に手間取り、その鳩を鳩舎に戻すと、再び冷えて風邪など罹患する危険性が高くなるし、
 体調も一度低下します。。種々、良いという方法を試しましたが、この魔法の箱が一番だと確信しています。

 一晩たたっら鳩舎に戻し、エサ、水を他の鳩と一緒に与えて、それでも疲労の回復が本当でなかったら、夕刻に魔法の箱に入れて家で泊める方法を、
 ニ、三日繰り返せば、病気を持っていない鳩であれば、ほとんど回復します。

 蛇足ながら、風呂とかあたたかい部屋というものは、我々人でもなんとなく緊張感が緩み、疲れがとれるものであることを付記します。

上記はDr”遠藤のピジョンセミナーから抜粋したものです。色々とためになる事が多く書かれていますので、ご覧下さい。