種鳩の選鳩について・・・・・・

  
★地域特性・・およそ、鳩レースを展開する際に、それぞれの地域によって、
          立地条件、コースの設定、風向き、その他の条件が大きく異なります。
          このことは、レース鳩を論ずるのに、極めて大きな障害となってきます。
          なぜならば、それぞれの条件を満たす鳩は、それぞれの異なる形質と特性を有するからに他なりません。
          それでは、この地域特性を克服するには、いかなる方法が最善であるでしょうか?
          それは、その地域地域で、いわゆる飛び筋を形成している鳩を、形態面および血統面ともに徹底的に研究・分析
          する事です。

          例えば、山岳地帯にある鳩舎は気圧の変動を克服しなければならないだろうし、大羽数でスピードを競う地方
          では、スピード性能を強く有した鳩が飛び筋を形成していると思います。
          難コースを飛翔して帰還せねばならない地域では、鳩は強い意志力を具備せねばならないでしょう。
          そのような特性(特殊性)を早く見つけることが大切です。
          そして、そのような特殊性を持った鳩が、どのような形態(主として骨格、筋肉、翼)を持っているかをしっかりと
          把握することです。

          例えば、向い風レースに遭遇する頻度の高い地域では、重心が前にあって、竜骨の前端が高めの鳩で、
          主翼が短めの鳩が適性を多く持っているだろうし、筋肉もパワーに溢れるややかための、
          強い瞬発力を有したものが有利でしょう。
          他方、風が追い風(フォロー)になる頻度が高い地方では、やや竜骨の浅い、薄手の鳩で、
          翼面積の大きな方が有利であろうし、疲れを知らない柔軟度の高い鳩が、より多くの適性を有しているはずで
          す。

          地元の飛び筋は、すでにレースの洗礼と、厳しい気象条件を克服して形成されているわけですから、
          その筋の導入が最良の方法であることは当然ですが、種々の事情によって、誰でも百パーセント導入できるとは限り
          ません。

         そこで、先程から述べている地域の飛び筋を研究・分析し、できるかぎり、それに形質の近い鳩を導入して基礎鳩とし、
         作出してレースに参加してみて、性能を検定し、淘汰改良を加えていきます。
         またレース鳩の作出ではそれが可能であるから魅力がつきないとも言えるのです。

           

 


★頭脳について・・
・体型を大まかに頭に入れて、それぞれの地域に合致したものを選んだならば、次の課題は頭脳の選択です。
         レース鳩は優れた帰巣性を必要とすることは、誰でも理解していますが、外見上でこれを判断することは困難な作業で
         ある事はご存知のとおりです。
         したがって、これは血統において判断せねばならない点が多いわけですが、ここで鳩における血統書の性格を考えてみ
         ましょう。

         鳩の血統は登録している機関がなく、それを客観的に証明する法がありません。
         したがって、昨今、鳩界をにぎわすような事態まで惹起されてきます。
         人間のオリンピックでいうならば、カール・ルイスやベン・ジョンソンのように、
         一挙手一投足を注視されているような世界的銘鳩でさえもその真偽がうんぬんされています。
         これは血統書が客観的に証明できる方法がないために起きた不幸な出来事です。
         その責任を追及することはしません。
         なぜならば筆者も、自己の証明印のみでしか、自分の作出した鳩を証明できないからです。

         話が若干脱線したが、筆者の言いたいことは、要するに鳩の血統書は作出者が記す以上、
         その作出者が信用に値する人物であるか否かを、確実に自分で判断をせねばならないということです。
 
         鳩の血統書は、犬とか牛とかの動物と異なり、形態上の表現はなく、レースでの成績を重視したものです。
         極論すれば、鳩の血統書は、すなわち能力(頭脳)の遺伝を証明するものであるといえるでしょう。
         したがって、頭脳の判断のいちばん確実なものは、成績(先祖を含めて)をできるかぎり正確に記した血統書そのもので
         ある事です。

        この血統書が信頼できるということを前提にして、さらに頭脳が遺伝的に優れたものかどうかを判断するには、眼の構造
        による判断がよいでしょう。

        


★眼による能力の判断・・
・種鳩として用いる場合、眼の虹彩の色素は濃い方がよい。虹彩は厚く、深みがあり、粒子が粗くて同心円状
        に配列するものを良しとします。
        放射状に走る虹彩を持つ鳩は、スピード性に富んでいますが、帰巣性が安定しない場合が多いです。

        
アイサインが瞳孔の周囲をぐるりと取り囲んでいるものは、スピード性能に欠けますが、帰巣性は良好な遺伝子を有してい
        ます。
        クチバシよりに三分の一程度、滲みたようなアイサインを持つものは、
        レース鳩として使翔するには好ましい場合が多いのですが、種鳩に用いた場合は、色素の淡いものが多く作出され、
        劣悪化傾向にあるようです。

        しかし、このスピード性能は捨てがたいものです。
        そこで同心円状に虹彩を有し、アイサインが瞳孔周囲を取り囲む鳩との交配によって劣悪化を防止できるようです。

       断っておきますが、筆者は、あるレースで一発優勝したが、次のレースで失踪などという鳩を理想として論を展開しているの
       ではなく、安定して上位に食い込む鳩を理想として論を進めている事を承知していて下さい。

     


★体の色による分類・・
鳩のクチバシ、羽毛の色の濃度、ツメの色などから、便宜上、鳩を分類してみましょう。
       このことは、好鳩を作出するための交配をする際に、重要な役割を果たします。
       南三陸連合会の(キ)系確立者、金野正家氏が考察した仮説に、筆者が考証を加えて、今日的解釈とした分類法です。


     白系鳩・・クチバシはアメバシである。背中の腰の部分は白い羽毛である。腹の方を見ると、腹の色は流れたような斑を呈し、
      かつ赤サビ色を含みます。ツメにも白い色を有している(アメヅメを含む)。このような鳩を
『白系鳩』と称します。
   
      黒系鳩・・
クチバシはあくまで黒く、腰の色は灰一色で白の混入はない。胸から腹にかけても灰一色で統一され、翼の羽毛も、
      一枚一枚が黒っぽい色で囲まれたような汚れた灰色を呈しています。さらにツメの色も黒い。このような鳩を、
『黒系鳩』と称
      します。


    中間色鳩・・この黒系鳩と白系鳩を両極端にして、腰の色、胸腹の色、翼の羽毛の色、ツメの色などが複雑に混じりあった鳩を、
     
『中間色系鳩』と総称します。
     しかし、この中間色系鳩にも羽毛の色の明度(灰色の羽毛の明度)によって
     黒系鳩に接近した中間色系鳩、白系鳩に接近した中間色系鳩、真に中間に位置する中間色系と分類されます。

白系鳩 黒系鳩 中間色鳩
白系鳩は黒系鳩と成反するものと考えればよい。

体質的に弱いのが最大の難点だが、切れはある。

管理技術に自在の妙を有する者は、究極的に白系鳩に近い中間色系鳩で競翔に向かうであろうが、その場合でも体質的に劣悪化に向かうので交配鳩として、黒系鳩および黒に近い中間色系鳩をもたねばならないことを銘記する。

この種の鳩は、全体的にドロ灰の色素が多く、眼の色の色素も暗いものが多い。

ヒナで生まれたばかりのものを見ると、皮膚も黒く、成鳩になっても眼環さえ黒いものがある。

この種の鳩の特徴は、体力的頑健さに代表される。
いわゆる体力派である。

したがって、病気に対する抵抗力も強い。
筋肉は硬く、羽質の柔軟性にも欠ける。
能力的にも劣り、失踪の確率が高い。
筋肉が乳酸化されやすく、
見た目より疲労の回復が遅い。
 
愛鳩の友誌のGCH、CH、RCH認定鳩を見ると、この黒系鳩をベースに、翼、頭部、クチバシ、ツメなどに白の色素(俗に刺毛)を混入した鳩が多く見られる。

分析するに、それらの鳩は経年的に飛翔を続けた鳩が有資格なようなので、体力的に頑健な鳩(黒系鳩)に、刺毛を混入して、能力的に改善した鳩が、認定されるようなレース成績をおさめるのではないかと考えられる。

中間色系鳩はレースの際に黒、白両系鳩の中間にあるため、もっと容易な管理で好成績を残すことができ、有用であるが、種鳩として用いる場合は、黒系×白系で、できた鳩であるために
雑種となり、一度、黒系、白系に戻した後でないと、好鳩作出の確率が低くなります。

中間色系×中間色系は、
なかなか好鳩が作出されないと思ってください。



     


★筋肉について・・
・筋肉は、飛翔するうえで、重要な部分です。
    最近の走査型電子顕微鏡(マイクロスキャナー)の開発、発展によって、その研究は飛躍的な進展をとげました。
    NHKテレビなどにも紹介されましたが、すでに筋肉には、遅筋(赤筋)と速筋(白筋)があることは、今日的常識とさえなっていま
    す。

   ところが、ピジョンスポーツにおいては、それぞれの鳩がいかなる筋肉構成をしているか、切片標本を作成して鏡検して判断するわけ
   にはいきません。

   他方、手で握って判断する場合、鳩は握られたことによるストレスで筋肉を収縮させ、あまつさえ、骨格さえも変化を生じさせるほどで
   す。
   したがって、このような条件下で、手に触れて柔軟性を確かめる事は難しいことです。
   しかし、
   ベテランは鳩を握るとき、鳩にストレスをかけないよう、包み込むように、そして鳩を浮かすように持ち、しばらく落ち着かせ、
   鳩の恐怖心を除外して各部の観察をするのです。

   筋肉には適度な柔軟性が必要な事はもちろんですが、筋肉の付着量は、骨格の形状に左右される場合が多い点に留意すべきです。

  一般に、竜骨の浅いメス鳩は、竜骨の横に筋肉が、あたかも竜骨が埋まるように付着しやすいものだし、逆に竜骨の高いものは、
   竜骨周囲に大胸筋の付着量がすくないように思われるますが、これは錯覚です。
   なぜならば、竜骨の高低によって、筋肉の絶対量をはかれないからです。

   大胸筋は翼を下方に下げる、すなわち推進力を起こすものであり、小胸筋は翼を上方にあげる際に使用するものです。
   さらに体の中のエネルギー源であるグリコーゲンを蓄積する重要な場所であるので、
   その量は豊かであった方が好ましいです。
   しかし、
   重量があるものであっては、浮力がそこなわれるので、軽いものであってほしいものです。

   一般に黒系鳩は骨太で筋肉も重く、白系鳩は骨が細く、筋肉も軽い鳩が多い様です。

    


★翼について・・・
ばしば形状とか、大きさとかが問題とされますが、その事は、前途したように風によって左右されところがあります。

   短・中距離鳩と長距離鳩では翼の形状が異なり風の抱え方も違ってきます。
   短・中距離鳩は副翼よりも主翼が発達し、長距離鳩は浮力を利用するために、主翼より副翼の発達したものが多いの
   です。

  しかしレースが常に同一条件下で実施されるわけでなく、向い風、追い風を問わず、飛翔を続けねば帰巣できません。
  したがって、飛びにくい条件下では耐えしのぎ、自分の飛びやすい条件の時に、十分な能力を発揮できるものでなければならないので
  す。
  私も含め、追い風、向い風のオールマイティー型を作りたいと希望するものであすが、中間的な型の鳩を作ると、
  レース結果もえてして中間的なものになりがちです。

  羽軸の強度、柔軟さも、もちろん重要な問題の一つではありますが、鳩舎に帰るという意志力と、風雨に耐えて飛ぼうとする精神力に
  優るものはありません。
  多くのレースをこなし、かつ好成績を残したものは、多くの面で理想に近い鳩体構造を有し、健康でバイタリティーに溢れるものです。

   


まとめ・・・種鳩としての条件は、ます、地元で淘汰された飛び筋をベースに、それぞれが希望とする距離に見合う骨格を有した鳩を揃え、
   かつ、体の色が黒系鳩、白系鳩を持つ事です。


  それらの鳩の体系的条件に優先して、信用のおける人格を有した人物が作出した、できるだけ多くの好成績鳩を祖先に持つ
   血統構成の鳩を選ぶ事がポイントです。

   この場合には、活躍鳩自身でなくても、むしろ良い場合が多いです。要は、鳩を買うより人を買え!!という事に尽きます。

上記はDr”遠藤のピジョンセミナーから抜粋したものです。
色々とためになる事が多く書かれていますので、ご覧下さい。
不明な点が、ありましたなら、遠慮せずに園長にメールをください。  何でもお答えいたします(*^。^*)