藤 本 芙 美 [ペンネーム 藤本 泉]

(東平尾)


推理小説家になった文学少女



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 芙美さんは、大正13年(1924年)藤本一雄の長女として東平尾の西林寺に生まれました。父親にもまして本好きな少女でした。特に、子ども時代芙美さんは体があまり丈夫でなく、学校をよく休んだそうです。そんな彼女に両親は講談社の「少年少女文学全集」を買って与え、ますます、本の世界にのめり込んでいきました。芙美さんの頭の中は遠い外国のことや日本の昔々のことなど、まだ見たことのない世界へと好奇心と空想でいっぱいになっていたようです。
 5年生の時、担任の宮城先生に「ふみちゃんの作文はおもしろいよ!ここんとこいいね・・・」と、よくほめてもらったそうです。そして「小笠文苑」という文集に詩や作文がのったり、「明星」という小さな雑誌では特選になったりしたので、芙美さんは、うれしくてうれしくて、だんだん小説家を夢見る文学少女になっていきました。女学校時代には、劇の脚本を書き、みんなを集めてお芝居もやったそうです。
 結婚後、小説の勉強をはじめ、芙美さんは、不思議な事件をときあかしていく推理小説や古典もの(昔の話)を得意とし、小説現代新人賞や江戸川乱歩賞などを受賞しました。受賞作「時を刻む潮」他、テレビドラマにもなりました。
 戦後、父一雄が、幼稚園を始める時には、両親の片腕となり、楽しい幼稚園を作ろうと、幼稚園創立の大きな力となりました。芙美さんは、童話も書きました。絵も上手でした。黒板に、さらさらとさし絵をかきながら語る、やまんばのお話や昔話など、子どもたちは息をのんでわくわく聞いたそうです。
 晩年、芙美さんは、大好きなドイツに住んで小説を書き、75才で亡くなり
ました。
 主な作品には、「媼繁盛記」(小説現代新人賞受賞)「時をきざむ潮」(江戸川乱歩賞受賞)「地図にない谷」「呪者のねぶた」があります。また、古典ものには「源氏物語の謎」「枕草子の謎」「作者は誰か奥の細道」他があります。