高田裁縫所  横山はる

(高田)


 70余年、無料でお裁縫を教えていた女性



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 はるさんは、明治15年高田に生まれました。はるさんは小学校を卒業する時に、「よし、お裁縫を習おう」と思いたち、静岡の先生の所へ習いに行くことを決めました。そのころ静岡まで行くことは大変なことでした。それでもはるさんは一生懸命通い、めきめき上達しました。
 はるさんが18才の時、友達に「お裁縫を教えてほしい。」と頼まれました。これをきっかけに、はるさんはたくさんの人に教えるようになりました。はるさんの教え方はとても上手で、教わる人が、遠く掛川や牧之原方面から歩いて通うほどでした。いつも明るくユーモアのあるはるさんは、みんなから「高田のお裁縫の先生」と呼ばれ、慕われていました。
 昭和19年(1944年)頃、日本は戦争をしていました。それに加え、大地震がありました。高田の人たちの家は全部壊れてしまいました。はるさんもお裁縫を教える場所がなくなりました。生徒のみんなに「家ができるまでは…」と断ると、「外でもいいから教えてほしい」と言われ、柿の木の下や井戸端にむしろを何枚も敷いてやりました。熟した柿が作っている着物に落ちて大騒ぎしたこともありましたが、そんな時でも、はるさんの立派な人柄にふれ、着物を頼んだ人も許してくれました。
 こうしてはるさんは、70余年ものながい間、大勢の人々に尽くしてきたことが認められ、昭和48年(1973年)文化の日、学術文化功労賞を授与されました。町からは明治百年祭の時、その功績を認められて表彰されました。
 昭和52年(1977年)7月、96才で「私は幸福者でした、ありがとう」と言ってこの世を去りました。

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